仕事を続けてこられた2つの事件

企業オーナー一人ひとりに、ビジョン(想い)があります。
ビジョン(想い)とは、経営理念や存在意義に基づいて、ある時までに『こうなっていたい』と目標とする到達点。

その達成をご支援するのが、私たちの使命です。

 

結婚を機に、一度家庭に入った私が、再び仕事に就き、その後、20年にわたって保険の仕事を続けこられたのは、多くのお客様と仲間に支えていただいたからです。

 

でも、長い時間の中で、決して忘れることのできない、そして、私がこれまでこの仕事を続けるための原動力なった事件が2つあります。

 

いまでこそ、こうして振り返ることができますが、その当時は、それが理由で、保険の仕事をやめてしまいたいとまで思ったほど、本当に苦しい苦しい経験でもありました。

教師から保険の営業へ

「A医師が今朝、お亡くなりになりました」

 

うだるような猛暑がひと段落しかけた初秋、Aクリニックの事務長から電話が

入りました。

 

「えっ、そんな......。3日前に、息子を診てもらったばかりですけど」

 

Aさんは個人開業医、 42歳です。

勤務医時代から私のお客様で、1年前に開業され、つい先日、ものもらい(麦粒腫)に

なった息子を診察していただいたばかりでした。

突然、 亡くなったと言われても、とうてい信じられる話ではありません。

 

「本当に亡くなっちゃったんです。クモ膜下出血だそうで、こちらも今どうして

いいかわからない状況なんですが、お知らせしておいたほうがいいと思って。

それじゃあ、スイマセンけど」

 

慌てた様子で、電話は切れました。

 

「人って、本当に死んでしまうんだ......」

 

私は思わずつぶやきました。

呆れるような発言ですが、そのときの正直な実感です。

 

当時、私は生命保険会社に勤務しており、フィナンシャルプランナー(以下、FP)

としては駆け出しでした。

お客様のリスクマネジメントをし、ライフプランニングを建て、お客様の人生を

応援し、守り切ることを使命に頑張っていました。

 

命ある限り、死は何時も隣り合わせだということは知っていましたし、友人や祖父母

が亡くなるなどの悲しい経験をしたこともあります。

けれども、Aさんがお亡くなりになったことは、私がFPとして初めて体験するお客様

の死でした。

それは重い重い重圧感をもった「責任」を私に感じさせました。

お客様が生きておられれば、何かの手違いがあってもやり直しが効きますが、Aさんは

もうこの世におられません。

やり直しは絶対にできないのです。

「生命保険」をご契約いただくことの重大さを、この時に初めて思い知らされました。

 

Aさんは、とても家族想いの方でした。

クリニックの机の透明なデスクマットの下に、 伊豆で撮ったという家族旅行の写真を

挟んでおられました。

開業して借入金があることや、奥様がひと回り年下で、お嬢様育ちなのでお金のこと

に疎く、口座がどこの銀行にあるかさえご存知ないこと、子どもさんができるのが

遅かったため、ご自分の年齢のわりにまだ小さいことなどを心配されていました。

そのため、ライフプランを立てて、それらのリスクをカバーできる内容に生命保険を

見直したところでした。

 

「これで大丈夫です。安心してお仕事に集中なさって下さい」

 

と申し上げたのは、わずか5ヶ月前のことなのです。

 

一週間後、保険金請求のお手続きに伺ったご自宅は、お線香の香りが玄関まで漂い、

畳は、ご葬儀のために移動された家具の跡が凹んでいました。

幼い息子さんは、事の次第がまだ飲み込めていないようで、お爺さんお婆さんが

いらっしゃることが嬉しいのか、はしゃいでいるように見えます。

買ってもらったおもちゃを、自慢気に私に見せに来ました。

奥様は、茶托にのせたお茶を、畳の上に置きました。

それから顔を上げることはなく、 抜け殻になってしまったような身体を、両手を

下について支えていました。

 

「お辛いですね」

 

やっとの思いで話しかけ、ご主人がどんな想いで保険に入られたのか、ご契約時に

A医師が語っておられた奥様やお子さんへのお気持ちを、私が代わりにお伝え

しました。

そして、開業時の借入金は保険金がおりたら直ぐに返済できること、

これから27年間にわたり、毎年命日に1年分の生活費が届けられること、

その生活費とは別に教育費がお子さんの進学する時期に給付されることを

ご説明しました。

 

「お辛いでしょうが、どうか、お子様を、しっかり育ててあげて下さい」

 

そこまで話が終わるか終わらないうちに、奥様は泣き出されました。

魂の抜けたような 無表情だった顔が、ぐしゃぐしゃになり、嗚咽がこぼれました。

私も一緒に泣きました。

ずっとずっと二人で泣きました。

奥様の目は涙でいっぱいでしたが、そこには先程までとは違う、強い力が入って

いました。

母として「生きる」事を覚悟した瞬間を、私は見せていただいたのです。

これからどうしていいかわからず、途方に暮れていた心に、A医師の愛が

伝わったのです。

 

「頑張れ、頑張れ、お前ならできる。頼むぞ!」

 

「生命保険」は、単なるお金ではなく、これから女が一人、子どもを抱え生きて

いくための「勇気」を与えてくれました。

――そう、生命保険は、「愛」そのものでした。

 

一番のお客様は元クレーマー(笑)

実は、とっても厳しくお叱りいただいたり、何度も何度もお電話で苦情をいただく

お客様がおられました。

 

当時、ある保険会社で、あるプロジェクトのクレーム担当だった私がお受けした

のが、ある医院の奥様である F さんでした。

 

1回で1時間以上苦情をお話されることが何度もあり、まぁ、今で言うところの、

「クレーマー」でした(笑)。

 

正直なところ、

 

「私が直接担当したわけじゃないのに、何で私が怒られるの・・」

 

と独り言の1つも言いたくなるような、とても厳しいお客様でした。

 

あまりの頻度と長い電話にはすごく苦しめられました。

ただ、たくさんのお叱りと苦情を何度も何度もいただく中で、一つ気づいたこと

がありました。

 

それは、お客様が勘違いをしておられる、ということでした。

あまりに厳しいお叱りに、さすがに、これは何とかしなければと思い立ち、考え

るようになりました。

すると、あることに気づいたんです。

 

よくよく考えてみると、お客様が勘違いをされているのは、私たちの会社が、

お客様に充分にご理解いただくための時間と労力を惜しんだが故ではないだろうか、

と思うようになったんです。

 

それからは、お叱りをただただお聞きするだけではなく、正しくご理解いただける

よう、保険会社の論理や都合ではなく、お客様の視点から、できるだけ丁寧な

ご説明をするよう心がけました。

 

そして、ようやく誤解が解け、お互いが歩み寄れるようになった頃、お客様から、

驚くようなご依頼をいただいたのです。

 

医院と個人のすべての財産の管理、マネジメントを全面的におまかせしたいので

コンサルティングしてほしいと。

 

私にとって、とてもありがたいお話をいただいたにも関わらず、

私は喜ぶどころか、驚き、あっけにとられました。

 

あれだけお叱りいただき、お客様自身も相当にお怒りだったにも関わらず、

いったいこのお客様に何が起こったのか、、それとも、悪い冗談かとも思いました。

だって、私は、本気でこの仕事をやめようかと思うくらい苦しみ悩んでたんですから。

 

それを、突然、財産管理の相談にのってほしいとは・・

まるでキツネにつままれた心境でした。

 

でも、お客様もきっと苦しまれたのかもしれません。

私たちの会社のしたことが、お客様に不安を抱かせ、疑問を放置しお客様に満足

いただくどころか、信頼を失うほどの不信感を抱かせたのですから。

 

最初にお客様のお怒りをかうようなことをしたのは私たちだったのだと思います。

そう考えれば、私たちがお客様にご迷惑をおかけし、ご不満に充分対応して

こなかったことを反省すべきでした。

 

会社の都合や会社のルールは、お客様には関係ないことです。

私たちは、あくまでもお客様の立場で、お客様の利益のために行動しなければ

ならないのでした。

 

その頃の私は、お客様の信頼を取り戻そうなどとは考えることもなく、ただただ

お叱りを受けるだけでした。

 

ひょっとすると、お客様もきっと、私たちがお客様が解決できていない課題を

解決することを期待されていたのかもしれません。

お客様の疑問に丁寧に応えるべきだったのかもしれません。

 

その証拠に、お客様が勘違いされていることがあり、私たちの説明も充分でなかった

ことがわかると、からまった紐が解けるようにお話がスムーズに進みました。

 

私たちは、初めからお客様へのご説明について勝手にわかっていただけているもの

だと思っていたのです。

お客様がご理解いただいているか否か、充分に確認することもなく、早足で勝手に

進んでいったのだと思います。

 

会社の勝手、自分の勝手でお客様を置き去りにしたり、ご理解

いただいたつもりになったり、私たちは、日々、気づくことも

なく、たくさんの間違いを犯していることに気付きました。

 

独立した今も、そのお客様からは、医院、法人、ご家庭の資産管理のパートナー

として、深くお付き合いさせていただいています。

 

この奥様との出会いも、忘れることのない私の大切な経験なのです。

 

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